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企業の社会的責任(CSR)と人権

ビジネスと人権との関わりについても当事務所はアドバイスをさせていただきます。

企業の社会的責任(Cooperate Social Responsibility - CSR)を考慮することが、今やビジネス世界の常識となりました。この事務所は、人権を守りながらビジネスを展開するとはどういうことなのか、あなたの会社にとってそれはどういう意味をもつのか、どうしたら人権を守りながら企業活動も成功させることができるのか、ということについてアドバイスをさせていただきます。企業として責任を持ったビジネス活動をすることで、法的に責任追及されるような事態を避けることができるという点が特に重要です。

「企業の社会的責任」という言葉はここ数年で大きな発展をとげました。社会的な責任をまっとうに果たしながらビジネスを展開するということは、単に慈善活動を行うこととは違います。地域社会の関心と企業の善意にもとづいて学校や病院を建設し、地域活動に貢献するといったボランティア活動とは違うのです。社会的責任を果たしながらビジネスをするということは、人の権利に企業経営の基礎を置くことであり、社会に対して一定の、かつ時には法的な義務と倫理的責任を負うことにほかなりません。

社会的に責任を果たしながらビジネスをするということは、企業のビジネスが与えるネガティブな社会的、環境的影響を防いだり、軽減したりすることから始まるものだという考えが国際的に根づいてきました。また、製造や物資調達の過程において企業が間接的に関わるビジネスにおいてさえも、そのような責任は発生するのです。

つまり、CSRというのは二つの段階によって成る「二段式ロケット」のようなものです。それは まず、果たすべき大きな責任が存在し、その後で初めて、善意による活動が行われるものです。CSRの考え方の根幹をなすものとして、国際法で言うところの「Do not harm - まず害をなさない」の原則があります。それは、ビジネス活動をする上で、人々や環境に対して害をなさないよう、手段を講じることを促す原則です。

CSRはこの Do no harm 原則による考え方から始まります。とても単純なようですが、実践する上でそう簡単にはいかないことが、日々の現実から明らかです。現地の法律に従うだけでは不十分です。法律は国によって違いますし、すべての国の法律が十分に人権を擁護し、環境を保護する基準を満たしているとは限らないからです。さらに、国内法を施行するだけの財源や施行する意思が当局になりという国もたくさんあります。法制度がきちんと整った国においてさえ、法律がすべての権利を十分に擁護できているとは限りません。

また、技術の進歩は大変に速く、法律がその速度に追いつけないことがしばしばあります。たとえば、化学物質が使われ始めてから何年もたった後にその人体や環境への悪影響が発見されるということがしばしばあります。法整備がなされるのはその後です。

一方、人権というのは国家がその国に住む市民その他の人々の権利を擁護する、という「縦の」関係にかかわるもので、人々と企業との「横の」関係を取り締まることが難しいという側面があります。社会的責任を果たしながら企業活動をするということは、国内法を遵守するということのみならず、国際的に常識となった人権を尊重するという倫理責任を負う、ということでもあるのです。

「人権」とは?

人権というのは人が生まれながらに持っている権利のことで、もっとも基本的な人権は国の憲法に含まれているものです。たとえば、表現の自由に関する権利、差別的処遇を受けない権利、宗教・信条の自由、プライバシーへの権利、生きる権利、健康な生活を送る権利や公正な裁判を受ける権利などがあります。

子どもの労働や強制的な労働の禁止、労働組合を含めた集会・結社の自由など、基本的な労働に関する権利も憲法に含まれているものです。こういった人権発展の背景には、フランス革命やアメリカ独立戦争後に宣言された人々の権利があり、第一次・第二次世界対戦の戦禍を経て国際連合による成立に至った世界人権宣言(1948年)、またはこの宣言が条約化した「市民的及び政治的権利に関する国際規約」、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(1966年)があります。これに加えて、ヨーロッパにはさらに広範囲にわたり、拘束力も強い各種の法的枠組みがあります。これらの基本的人権を尊重することは、もはや国家だけの責任ではありません。

この事務所は、CSRと人権の分野でオランダ、ヨーロッパ諸国、また途上国で長年の国際経験を積んだ法律家が、あなたの会社をサポートさせていただきます。基本的な考え方から説明させていただきますので、ぜひお問い合わせください。